ミニ水槽(アクアリウム)を立ち上げましたが、「大型水槽は、少し、荷が重い」とお考えの方の参考になると考えて、ご報告です。ポイントは、「水質劣化対策」です。「ミニ水槽」であれば、「大型水槽」よりも、「水質の劣化」が余計に気になります。
水質の劣化とは?
小魚と水量の目安として、「1cmの小魚で、1Lが必要」があります。ただ、これは、「限界数」と認識した方が良さそうです。例えば、今回、用いる「ミニ水槽」は、「20cm×15cm×10cm=3L」なので、「限界数は3匹」となります。
水質の劣化とは?
「水量と小魚の数」は、気にすべき値です。要するに、「少ない水なのに、沢山の生物を入れない」です。例えば、「小魚(メダカ)」を例にすると、「尿や糞(排泄物)」を水中に放出です。また、「餌の残り」「枯れた水草」も水質の劣化の原因になります。何もしないと、だんだんと汚れる事になります。ただ、「水質の劣化」の意味を正確に理解しておいた方が良さそうです。
排泄物等による水質の劣化
ネット記事によると「淡水魚」と「海水魚」では、排泄物の濃さが異なります。以下にまとめます(リンク先が参考記事)。https://jf-farm.com/202/
淡水魚 | ・周囲の水よりも、体液が濃い ・体内に水が入ってくるので、それを排出するため、「薄い排泄物」 |
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海水魚 | ・周囲の水よりも、体液が薄い ・体内から水が抜けていくので、必要最小限である「濃い排泄物」 |
このため、「濃い排泄物」である海水魚の方が、有毒な排泄物を出すと言えそうです。
「排泄物」「餌の残り」「枯れた水草」の分解
例えば、うちの「ミニ水槽」のママエビと生まれたミニエビ(稚エビ)です。一所懸命に生きているので、生物なので、「排泄」を行います。もちろん、「餌の残り」も、やむを得ず、発生します。
「排泄物」「餌の残り」「枯れた水草」である「有機物」は、バクテリア(微生物)により分解されます。ただ、以下のように反応となります。もちろんの事ながら、尿や糞の中や、エラ水流にも、アンモニア(NH3)が含まれています。
・「有機物+酸素」 → 「無機物+アンモニア」
従って、だんだんと水槽内の「アンモニア」量が増えていくことになります。この「アンモニア」は、毒性が高く、生物にとって有害です。ただ、この「アンモニア」が「アンモニア酸化細菌(ニトロソナモス)」と呼ばれるろ過バクテリアの餌になるそうです。つまり、アンモニアに比べれば、毒性のやや低い「亜硝酸塩(NO2)」に分解(酸化)してくれます。それを「亜硝酸塩酸化細菌(ニトロバクター、ニトロスピラ)」が、より毒性が低い「硝酸塩(NO3)」にしてくれます。以下に示します。これらのろ過バクテリアは、「通称:硝化細菌、しょうかきん」と呼ばれます。
・「アンモニア(NH3)+酸素」 → 「亜硝酸塩(NO2)」 → 「硝酸塩(NO3)」
それぞれの場面で、バクテリアが活躍してくれています。自然とは凄いです。なお、「亜硝酸塩酸化細菌」は、10度以下で減少するので、水温はそれ以上が望ましく、15度以上が理想です。また、「亜硝酸塩酸化細菌」は、PH6以下になると、「硝酸塩」を「亜硝酸塩」に還元してしまい、良い方向とは逆なので、PH6以上が望ましいです。
・最後の「硝酸塩(NO3)」は、「嫌気性バクテリアによる脱窒」「水換え」「植物(水草)が肥料として消費」で排出されます。
・ただ、「硝酸塩(NO3)」が処理しきれないで過多になると「緑藻類」「藍藻類」が大量発生します。大量発生に伴い、夜間は呼吸による二酸化炭素を発生で、小魚のためにも良くありません。その場合も「水換え」が有効な手段となります。
・このような大量発生したモノを「グリーンウォーター」として推奨する向きもありますが、このような危険性があるそうです。
・ネット記事で「アクアリウムで言われるところの弱酸性とはpH値で5.5〜6.8くらいの範囲を指し、7付近を中性と呼ぶ」とありました。このあたりの数値を目安でお願いします。
アンモニア(NH3)の毒性
では、アンモニアは、すぐに小魚に毒かというと、そうでもありません。アンモニアが水に溶けて、アンモニアイオン(NH4)になり、後者は無害です。
・ただ、アンモニアイオンが水に溶ける量にも限界があります。また、水温上昇やPH上昇で、溶ける量が少なくなります。(PHが高い8程度の海水では、アンモニアのままという意味)
「アンモニア」「アンモニアイオン」を排出するために、「水換え」が、非常に重要です。
水質を維持するポイント
前述のように水中生物は、毒性の高い「アンモニア」を直接に排出します。ただ、陸上生物は、「アンモニア」を、肝臓で毒性の低い「尿酸や尿素」に分解しています。おそらく、水中生物は、アンモニアが水に溶けやすく、薄まるので、そのまま排出になったと考えられています。
自然界では「大量の水」で薄まるのですが、水槽では「少量の水」なので、「アンモニア蓄積(アンモニア中毒)」が大問題です。「呼吸が早い」「水槽の底でじっとしている」などの現象は、アンモニア中毒の初期症状である可能性があるそうです。
水質を維持するポイントを以下に示します。
①生物を入れすぎない | ・1cmの小魚で、1Lが必要 |
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②餌をあげすぎない | ・餌が残らないように |
③酸素を供給する | ・バクテリアのために必要ですが、もちろん、小魚にも有効です |
④水草 | ・「硝酸塩(NO3)」の消費のため ・入れすぎると、水草が枯れて、水質悪化の原因なので、少しで良いと考えます。 ・また、小魚やエビも、水草を食べているようです。 |
⑤水換え | ・水中の「アンモニア」「アンモニアイオン」を少なくする |
なお、「④水草」は、「無農薬」をお選びください。一度、農薬付きを購入してしまい、数日で「全員、×」が発生しました。例えば、うちでは、「ウィローモス、国産、無農薬、10g、約700円」です。
(水草)国産 ウィローモス 1カップ 約10g(無農薬) メダカ 金魚藻 emuwai
・うちでは、「水草」は、この程度としています。ミナミヌマエビが、「食事」もしている様です。可愛いです。
水質を維持する具体的な方法「★ポンプ」「★底砂」「★水槽用フィルター」
前述の「①生物を入れすぎない」「②餌をあげすぎない」は、普段の心がけですが、以下で、「③酸素を供給する」に注目します。現在の「ミニ水槽(20cm×15cm×10cm)」の全体像です。真ん中に見えるのが、「エビの餌やり用の小皿」です。「小皿」がお勧めなのですが、関連記事です。https://daijoubudayo.com/diary/freshwater_shrimp_foods/
「③酸素を供給する」ために、「ポンプ」で空気を送っています。うちでは、ポンプは24時間稼働です。バクテリアのために、重要です。ヌマエビが、酸素が多いためか、餌が多いためか、居場所として好きなようです。群がっている2枚目の写真です。
「ミニ水槽」で工夫している点を以下に示します。特に「<1>ポンプ」「<2>底砂」「<3>水槽用フィルター」の3つが、バクテリアが元気でいるために肝要です。また、うちでは「カートリッジ」も追加して、「バクテリア量を最大」にしています。
ライト | ・太陽の光に近い「蛍光灯」を使用しています。 ・高価な水槽用もあるのですが、「ミニ水槽」であれば、安価な市販品の卓上ライトで十分と考えました。 ・水草のためにも、必要ですが、昼だけ点けており、夜は消灯しています。小魚も昼夜の切り替えの為、必要との事です。 |
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★ポンプ | ・「24時間稼働」です。ミニ水槽なので、特に重要です。 ・バクテリアへの酸素供給の意味があります。 ・エアー調整可能ですが、最大排出量で使用しています。 |
★底砂 | ・以前は、「底砂無し」で、「失敗」しました。 ・右奥に見える「水槽用フィルター」だけでも、バクテリアが棲めるようですが、この水量に対する「バクテリア量」が足りなかったと思います。そのため、厚み1cm程度の「底砂」に加えて、以下の「カートリッジ」も追加して、「バクテリア量を最大」にしています。 ・「ママエビ」が見えていますが、以前は、ほぼ同条件で、1か月も経過すると、死亡事故が多発していました。 |
★水槽用フィルター | ・ポンプからの空気で、「バクテリアによる水質浄化」が目的です ・なお、「底砂」に半分以上を埋めているのは、底砂への水流発生への期待からです。 |
カートリッジ | ・「水槽用フィルター」の上に、「カートリッジ」を置き、「バクテリアの棲み」として、追加しています。 ・この中には、底砂と違う「多孔質の石」を入れ、バクテリアが棲みやすくしています。 |
水流による巻き込み事故防止(カートリッジ効果、水の吸い込み口) | ・「水槽用フィルター」で水流が発生しますが、小さい生物であれば、水流に巻き込まれてダメージになります。 ・それを防ぐために、「カートリッジ」を置き、水流が水面にだけ発生するように、工夫しています。 ・なお、「水槽用フィルター」の「水の吸い込み口」も底砂内にあるので、小さい生物が巻き込まれる可能性が低くなります。 |
必要な備品/材料(★ポンプ、★底砂、★水槽用フィルター、カードリッジ、ろ過材)
・底砂です。例えば、「底砂(砂利)、3~6mm、5㎏、約2100円」です。「土系」もバクテリアが棲みつきやすいようですが、「ミニ水槽」は、水量が少ないので、土埃で水が汚れやすいので、避けた方が良さそうです。
・「水槽用フィルター」です。例えば、「水作エイトコア ミニサイズ、高さ7cm、約900円」です(その上の「Sサイズ、高さ9.2cm、約900円」では、大きい)。なお、本フィルターの取説部分でも「5L以下」とあり、「ミニ水槽は3L」と適合です。また、前述の「アンモニア」「亜硝酸」を分解と記載であり、安心です。
・カードリッジです。例えば、「水作カートリッジ、Lサイズ、高さ5cm、約500円」です。そもそも、中に活性炭が入っており、2週間の効果との事ですが、うちでは、中身を後述の「ろ過材」に切り替えて使用しています。なお、「水槽用フィルター(水作エイトコア ミニサイズ)」の上に置いて使用なので、「Lサイズ」が丁度良かったです。
・カートリッジ用の「ろ過材」です。例えば、「ろ過材、多孔質、1L、約1500円」をその中に入れています。カートリッジに入るように、「ろ過材」の小さ目サイズを選抜しています。メーカー説明では、「1Lあたり約450m2もの広い表面積」「適当な直径の孔による多孔質なのでろ過バクテリアのコロニー形成に最適の条件を備えています」です。良さそうな気がしています。
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水槽の水換え
重要な「⑤水換え」です。急な水質変化が無いように、水換えは、「全体の1/4~1/3」と言われていますが、「ミニ水槽」では、「1/4の目安」が望ましいです。「水道水」を「数日放置(屋内の場合)」でカルキ抜きを行い、ゆっくりと追加します。ちなみに、日本の水道水には、塩素が「1Lに最低0.1g」含まれているそうです。
・「塩素中和剤」も市販ですが、数日放置で十分と考えます。また、本剤の主成分である「チオ硫酸ナトリウム」は、小魚に有害との事なので、使用限界量が規定されています。
・「塩素」は、小魚に加えて、バクテリア死滅が怖いので、必ず「カルキ抜き」をお願いします。カルキ抜きした水道水は、菌が増殖するので、なるべく早めにご使用ください。
・なお、「ミニ水槽」の壁面が汚れてくるので、歯ブラシ等で、綺麗にしてから、「水換え」が望ましいです。
・うちの「ミニ水槽」では、「数匹のママエビ」用で、排出物も少量なので、2週間に一度の「水換え」の目安としています。冬は、気温の低下と共に「亜硝酸酸化細菌」も活動定価しますが、生物の新陳代謝も減るので、環境変化を避ける意味も有り、3週間に一度の「水換え」でも良いかもしれません。
水底の掃除(水換えと同時で)、大型スポイド
水底には、汚れが溜まります。うちでは、「大型スポイド+ボール」を使っています。「大型スポイド」を底砂に差し入れて、吸い上げると、汚れが入ります。それを、ボールに排出します。「1/4の目安」の総量とすると、足りない水を追加で、丁度良いです。
・なお、「ボール」を使用するのは、「稚エビ」も一緒に吸い上げる事が多いからです。「ボール」なら、見えるので、「稚エビ」だけ、ミニ水槽に戻せますので…
・例えば、「大型スポイド、50ml、約1400円」です。少なくとも、30ml以上の大きめのスポイドが良さそうです。
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・なお、大型スポイドだけでは、水量が減りすぎる場合は、「小網」の活用が有効です。
・例えば、「稚魚用、小網、約600円」です。
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「緑藻類」や「藍藻類」が大量発生
もし、これらの藻類が対象発生する場合には、「硝酸塩(NO3)過多」という事なので、「生物数」「水量」「水草」のバランスが崩れているという意味になります。
・まずは、「水換え」と考えますが、「生物数を減らす(餌残し量を減らす)」でもダメなら、「水草を増やす」が良いです。ただ、「水草を増やす」と枯れたモノが増えるので、増やしすぎない注意も必要です。
水槽使用前に必要な事
前述で、バクテリアの重要性をご説明しましたが、そもそも、最初、「ミニ水槽」にこれらのバクテリアが存在しません。。このような良い水は、「飼育水」とも呼ばれます。
うちの「ミニ水槽」では、すでに使用中の大型水槽から、「種水(言い方は、種水ですが、単にすくっただけ)」を入れました。「底砂+水槽用フィルター+カートリッジ+水草」をセットして、「種水」を入れて、ポンプONです。この状態で、「数日間運転」します。その後に、生物投入でお願いします。
本作業で、バクテリアが増殖して、「底砂」「水槽用フィルター」「カートリッジ」に棲みついてくれすはずです。この作業を怠ると「有害なアンモニア」が処理しきれいないと考えます。
・バクテリアを購入される方は、例えば、「バクテリアウォーター、300mL、約800円」です。
バクテリア(微生物)は、重要ですが、気を付けないといけないのは、「浮遊性」という事です。「水換え」で、水と一緒に捨ててしまわないように、「バイフォフィルム(ヌルヌルした状態)」を形成する必要があります。その意味からも、「底砂」「水槽用フィルター」「ろ過材」 の使用が不可欠となります。
ミニ水槽での小魚等の回収道具
例えば、ミニ水槽で育った稚魚を、大型水槽に移す際に、回収道具が必要です。前述の「小網」が一般的ですが、うちでは「あく取り(料理用)」を使っています。前者は、稚魚が網に引っ掛かりますが、後者は、「引っ掛かりがなくスムーズ」で、稚魚にも負担が少ないです。お勧めです(金魚すくいのイメージです)。
・100均にもあるかもしれませんが、例えば、「あく取り、約400円」です。
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まとめ
・失敗談としては、「バクテリア量」が少なかった時に、「水質の劣化」が発生してしまいました。
皆さんのご参考まで(^^) 何かあれば、お気軽にお問い合わせください。
2021年6月25日
更新日:2022年1月3日(記事構成の改善)
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本記事②も含めた「水槽関連」の記事マップです。例えば、「水槽の立ち上げ」「水槽の部材/道具」「水槽で飼うもの/飼い方」です。ご興味があれば、下記の記事リストからどうぞ。
・なお、「アルミのミニ格子(水槽の猫対策)の作り方」も参考リンクしておきます。https://daijoubudayo.com/diy/aluminum_latticedoor/
・上記も含めた本ブログの「気ままな独り言」カテゴリー(水槽関連、ブログ関連、仕事、猫と人間)の記事リストです。他の記事も、どうぞ。
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