65歳以降も、再就職するのか、悩んでいる方は、多いと存じます。一つの理由は、再就職の有無での各ケースによるメリット/デメリットの全体像が分からない事が考えられます。本記事では、具体例で、この様な全体像を記載しましたので、ご参考になると考えます。
4通りのケース比較
ケース比較です。「<1>再就職を検討(再就職を諦めるかも…)」「<2>再就職する(何としても、再就職を勝ち取る)」に分けました。また、ネット記事で話題の「退職日:64歳11か月」も検討しました。従って、ケースは、4通りです。
<1>再就職を検討 | ・退職日は、よく言われる「<1A>64歳11か月」と「<1B>64歳最終日(通常)」としました。 |
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<2>再就職する | ・退職日は、上記「<2A>64歳11か月」と「<2B>64歳最終日(通常)」としました。 |
・メリット/デメリットの観点です。もちろんの事ながら、「人生のやり甲斐」等の気持ちの問題もありますが、本記事では、「お金」に絞って記載しました。
再就職の有無(<1>と<2>の差)
再就職の有無です。「<1>再就職を検討(再就職を諦めるかも…)」と「<2>再就職する(何としても、再就職を勝ち取る)」です。要するに、前者は「良い再就職先があれば…」ですし、後者は「何としても、再就職を…」です。再就職の可能性が大きく異なります。特に後者は、確定では無いものの、再就職先との話が進んでいるケースもあります。
退職日の差(<A>と<B>の差)
ネット記事で話題の「退職日:64歳11か月<A>」を盛り込みました。会社手続きが面倒な気もしますが、「お金が大きく得」なら、選択すべきです。
再就職の有無
再就職の有無です。最も異なるのは、「65歳以上での厚生年金額の上乗せ」です。参考記事「65歳以降も働いて厚生年金に加入し続けると、年金額はどのくらい上がる?」です。要するに、支払った厚生年金保険料の元が取れるのが、平均余命を全うした方となります。
・ただ、そもそも、再就職すると、厚生年金保険料以外が収入増となるので、それを「投資信託等」で増やせば、収入全体で元が取れるのは、もっと早くなります。うちでは、「<2>再就職する」を選択予定です。
・上記計算結果に基づくと、「20万円/月」の再雇用で、2年間とすると、「13,000円×2年間=26,000円」の年額上乗せとなる。現在65歳の平均余命は20年なので、合計で85歳。 ・従って、26,000円×20年=52万円が増額。厚生年金保険料は、「20万円/月×約10%=2万円」×24月=48万円で同額。 ※「厚生年金保険料率」によると、厚生年金保険料率は、18.3%であり、半分の9.15%=約10%が自己負担額。 |
再就職の時期
65歳以降の再就職の時期です。「半年くらい、ゆっくりして、何かの資格を取得して…」のネット記事が溢れています。ただ、そもそも、それだけのモチベーションを維持できる方は、65歳以前で準備しているはずです。
・加えて、現実的には、老化も進みます。意欲もいかがでしょうか。従って、うちの方針は、「なるべく早い、再就職を目指す」としました。
退職日の差
参考記事「「64歳11カ月退職」に潜む5つの落とし穴」です。参考にさせて頂きました。
・下図に示す様に、「64歳11か月<A>」の場合は、「失業保険_基本手当」の対象となりますが、それ以前に退職した場合と比較して、「失業保険_基本手当」の減額が無い事を示しています(意味合いとしては、日本年金機構側が減額しようとしても、ギリギリで間に合わない、でしょうか)。
・同じく、下図に示す様に、「65歳以降<B>」の場合は、「失業保険_基本手当」の対象外ですが、「高年齢求職者給付金」の対象となります。
ただ、64歳で「厚生年金_報酬比例部分」「厚生年金_定額部分」が存在している対象者の場合なので、参考記事「特別支給の老齢厚生年金」から、「男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと」「女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと」等で無ければ、無関係です。要するに、若い人は、無関係です。 |
「64歳11か月<A>」と「65歳以降<B>」の比較
・2つを以下で比較します。なお、「特別支給の老齢厚生年金」の対象者で無い「若い人」を例とします。
64歳11か月<A> | ・「失業保険_基本手当」の対象となります。なお、給付額は、64歳で45%となるので、退職前「40万円/月(1.3万円/日)」×45%=18万円/月(6千円/日)となります。「6千円/日×5か月分(150日)=90万円」が最大額です。(参考記事「【2025年】失業保険の金額を計算」で上限(7420円/日)が記載されています。これによると、「7420円×150日=111万円」が最大額) ・なお、早めに再就職が決まれば、減額されます。 |
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65歳以降<B> | ・「高年齢求職者給付金」の対象となります。「6千円/日×2か月弱(50日)=30万円」となります。 ・なお、早めに再就職が決まっても、一括支払いなので減額無しです。 |
・「64歳11か月<A>」で、「失業保険_基本手当」の給付率ですが、参考記事「失業保険(失業給付額)を自動計算する」で、「64歳、1.3万円/日」なので、45%である事が分かります。 |
うちの方針は、「なるべく早い、再就職を目指す」なので、「64歳11か月<A>」にある最大額(5カ月)ではなく、せめて、2か月弱で決着をつけたいです。本観点では、「65歳以降<B>」と同額になります。
・また、「64歳11か月<A>」ですが、退職日を前日とするは、何かと不安なので、うちでは、1週間前(対象月の約1/4)を想定しました。となると、退職前「40万円/月」の約1/4が会社から支払い無しとなるので、約10万円の減額となるので、「65歳以降<B>」よりも、少なくなります。
・「64歳11か月<A>」で、5か月分(150日)の最大額を頂くためには、「4週に1度の失業認定を受けるため定期的にハローワークに通う必要」があり、最大で7~8カ月を要します。それに加えて、「65歳以降<B>」は、一度の認定なので「楽」です。 ・そもそも、最大額を頂く期間は、失業中なので、「社会保険料の自己負担」や前述の「老齢厚生年金の上乗せゼロ」、「ブランクが再就職に不利」等が、デメリットとなるので、慎重な判断をお願いします。 |
・従って、うちでは、「65歳以降<B>」として、「2か月弱(50日)」の再就職を目指します。
「65歳以降<B>」の「高年齢求職者給付金」について
参考記事「65歳以上の失業手当「高年齢求職者給付金」はいつ?いくらもらえるの?」です。うちでは、65歳直前まで、会社勤務だったので、「雇用保険加入期間1年以上」なので、前述で「基本手当日額×50日」で試算しました。
・なお、特徴的な事は、「65歳以上で再就職した場合でも、6ヶ月以上雇用保険に加入すれば、何度でも失業手当(高年齢求職者給付金)を受給することができようになりました」なので、うちでは、「再雇用」を検討していますが、2回目の「再雇用」も安心してトライ可能です。
・参考記事「高年齢求職者給付金とは?受給額の計算方法やよくある疑問を解説」で具体的な手続きを以下に示します。離職日の翌日から、手続き開始です。
・「高年齢雇用継続給付」とは、異なる制度なので、ご注意ください。 |
4通りのケース比較「全体像」
4通りのケース比較「全体像」を以下に示します。なお、前提は、「65歳以上での厚生年金額の上乗せ」を狙って、「2か月弱(50日)」の再就職を目指す場合です。
<1>再就職を検討 | ・退職日は、よく言われる「<1A>64歳11か月」と「<1B>64歳最終日(通常)」としました。 →前者は最大で5カ月(150日)の「失業保険_基本手当」となりますが、そもそも、「2か月弱(50日)」の再就職を目指すので、後者の「高年齢求職者給付金」の「2か月弱(50日)」と同額です。 ・また、前者は、「定期的なハローワーク」も面倒です。うちでは、後者を選択しました。 |
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<2>再就職する | ・退職日は、上記「<2A>64歳11か月」と「<2B>64歳最終日(通常)」としました。 →上記と同様な理由で、後者を選択しました。 |
・ただ、もちろんの事ながら、結果として、「2か月弱(50日)」の再就職ができなかった場合は、「<1>64歳11か月」の方が、最大で5カ月(150日)の「失業保険_基本手当」となるので、うちの場合では、90万円と30万円の差(60万円)となります。
・確かに、60万円の差は高額ですが、これで決め手とするのではなく、そもそもの「人生のやり甲斐」等を考慮して頂ければ、幸いです。
まとめ
65歳以降も、再就職するのか、悩んでいる方は、多いと存じます。一つの理由は、再就職の有無での各ケースによるメリット/デメリットの全体像が分からない事が考えられます。本記事では、具体例で、この様な全体像を記載しましたので、ご参考になると考えます。
・まとめとしては、「65歳以上での厚生年金額の上乗せ」を狙って、「2か月弱(50日)」の再就職を目指すのがおすすめです。加えて、うちでは、「高年齢求職者給付金(30万円、一括支払い)」の対象となります。
皆さんのご参考まで(^^) 何かあれば、お気軽にお問い合わせください。
2025年7月21日
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参考記事「高年齢求職者給付金とは?受給額の計算方法やよくある疑問を解説」 |
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